Technicsダイレクトドライブ SP-10・1972年-

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松下電器テクニクスのプレーヤーが
レコードの楽しさを教えてくれた

 【ダイレクトドライブ・DD】と言うのは、回転するモーター軸に回転させなければいけないもの直づけするという方式。電車の車輪、洗濯機、ハードディスクなど色々な機器に使われている。レコードプレーヤーのターンテーブルを、初めてダイレクトドライブにしたのが【テクニクス】。テクニクスはパナソニックの音響機器向けブランド名。商品が素晴らしいと、メーカー名よりもブランド名や商品名の方が記憶に残る。

 33と1/3の非常に遅い回転速度を正確に維持したまま、高いトルクでレコード盤を廻さなければならないという事をダイレクトドライブでするとなると、モーターの精度をはじめ色々なハードルが高くなる。当然モーターも巨大化するし、高価なものとなる。ベルトドライブのモーターは直径2.5cmなのに対しダイレクトドライブ方式は4倍のモーター径10cmになる。

世界ではじめて実用化の成功したダイレクトドライブターンテーブルSP-10、82,000円

世界ではじめて実用化の成功したダイレクトドライブターンテーブルSP-10、82,000円

 それまでのベルトドライブの常識を打ち破ったのがテクニクスSP-10。ターテーブルだけなので、今の若い人が見るとなんだこれ? なのだが、昔はレコードを廻す機械部分と、アームや針は別もので、好きなメーカー同士を組み合わせて楽しんだ。

 TechnicsのSP-10以降、レコードプレーヤーはいっきにダイレクトドライブ方式に代わって行く。テクニクスというブランド名の由来は『松下電器ラジオ事業50年史』によれば、輸出用につくられていたスピーカーこれが現在の社名になるのだが、「Pana Sonic」の設計者・阪本楢次さんと取引先だった日本橋電気街の河口無線(現Joshin)の会長さんとの対話がきっかけだとか。

DDターンテーブルSP-10MKⅡの新聞広告

DDターンテーブルSP-10MKⅡの新聞広告

 テクニクスブランドのプレーヤーはその後、クラブDJの間で引っ張りだこに。そのわけは、ピッチコントロールが出来るので音を変化させたり、適度なトルクがあるのでレコード音にスリップ音・キュッキュとわざと音を入れることにがやりやすかった。名機とまで言われたSL-1200シリーズは全世界で累計販売350万台を記録。また松下さんはプレーヤーだけでなくレコード針も自前で作り、またその性能がすこぶるよかった。しかしCDの大衆化とともに、2010年にはレコードプレーヤーの幕を静かに閉じた。

テクニクスブランド50周年に
不死鳥のように復活SL-1200

塾の講師のアルバイト料で購入したSL-1500MKⅡはいまも健在

塾の講師のアルバイト料で購入したSL-1500MKⅡはいまも健在


 「レコードの方が音が好い」とある演奏家が言ったのをきっかけに、私の周りでもレコードプレーヤーで音を聴き直す人がでてきた。CDは実際には耳には聴こえないとされている2万ヘルツ以上の高音はカットされている。しかしレコードなら出せる。それほどの耳を持っていない私でも、レコードの方が暖かみがある音だと感じ、音を楽しむという行為をレコードで知る。
2016年12月から新発売SL-1200G

2016年12月から新発売SL-1200G


 これに気づいたのは、たくさんの音楽好きな人たち。「もう一度まともなダイレクトドライブドライブのプレーヤーが欲しい」と。SL-1200はこうして不死鳥のように復活した。2016年にはテクニクスブランド50周年という事も有り全世界1,200台、国内限定300台でSL-1200GAEが発売された、定価は33万円。通常モデルSL-1200Gも2016年冬から発売開始。定価は33万円だが、プレミアがつき手に入れるには35-36万円かかる。

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